9 春の雪

甘酸っぱい香りの紅白の梅が咲き、雛祭りも終わり、春の足音が聞こえてきたかと思えば、7年ぶりの3月の積雪。まだ寒い日もありますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

いつもより遅いインフルエンザ

当院では、12月より1月末までにインフルエンザの患者さまが数人程度で、「この冬はインフルエンザの流行はないね。こんな珍しいこともあるんだね?」とスタッフと話をしていた矢先、2月の初めからインフルエンザの襲来をうけ、川越地区にあっという間に流行していきました。

インフルエンザの種類は、毎年2月頃、WHOがその年に流行するであろう株を発表し、各国で昨年の流行状況や抗体価の現状を踏まえ、類似の株の中から決定します。この冬のインフルエンザの種類の予想は、主にA香港型が流行し、B型は散発的流行かと思われていましたが、ふたを開けると圧倒的にB型のインフルエンザウイルスが多く、予想は見事にはずれていました。

インフルエンザA、Bとも今回の患者さまを拝見する限り、特に症状に差はありませんでした。強いて言うと、A型の方が重く、B型の場合は、消化器症状が多く見受けられました。
今回のインフルエンザのワクチンについてですが、A型、B型ともに入っており、A型株は、A/ニューカレドニア と A/ワイオミングで、 B型株は、B/上海 でした。実際に流行したインフルエンザの種類もこれに該当していました。しかしながら、接種されても必ず免疫がつくとは限らず、今回、運悪くかかってしまわれた方々もいらっしゃいました。でも、接種されていたぶん、軽症ですんだケースが多かったです。

インフルエンザの治療につきましては、前回の院長の部屋でお話ししました通りで、皆様もよくご存知なのですが、インフルエンザにかかっているかどうかの検査については、まだあまり浸透していないようです。検査が有効であるのは、発熱後12時間から24時間なのです。発熱直後ですと、検査をしてもインフルエンザの菌がでない場合が多く判断材料にならず、そのため翌日再度来院して頂くことが多々ありました。

現在、ワクチンは、インフルエンザの最も効果のある予防手段であり、特に高齢者、呼吸器・心臓・腎臓病などをもたれるハイリスクの方々、受験生やそのご家族には個人的には接種をおすすめします。今年も例年どおり、インフルエンザの予防接種のご予約開始は、10月1日を予定しております。

お詫び

2月の中旬以降は、患者さまの数がとても増え、一日300~400名の患者さまにご来院頂きました。本当にありがたいことと感謝しております。医師を3名に増やして対応させて頂いた日もございましたが、埼玉医大から毎日もう1名来て頂ける先生がおりません。予約がなくお越し頂いた患者さまの中には、やむをえず診察をお断りするようなケースが幾度となく発生してしまいました。本当に申し訳なく思っております。受付時間内にご来院されたにもかかわらず、このような措置をとらせて頂きましたことを心からお詫び申し上げます。

スギ花粉・・・

さて、スギ花粉のシーズンがまたやって来ました。今年の花粉飛散量は、過去最高になるとか!?花粉飛散量に一番大きな影響をもたらすのは、日照時間です。夏が猛暑で雨が少ないと、植物は栄養分の生産が多くなり、たくさんの花芽を作ることができます。昨年は、全国的に猛暑で日照時間が記録的に長かったのです。スギ・ヒノキの花粉飛散を数字で表すと、この地域では、坂戸市が測定場所になっていますが、昨年は847個と少なめでした。しかし今年の予測はというと、なんと13500個と物すごい数になっています。(単位・・・個/平方センチメートル/シーズン)早めに抗アレルギー剤の服用、点眼、点鼻等をおすすめします。

花粉症のひとくち豆知識

花粉症のルーツはイギリスと言われています。19世紀の初め、イギリスの農民が牧草を刈り取り、乾燥のためにサイロに入れる際、のどの痛み・くしゃみ・鼻水・鼻づまり・涙が止まらない人々が多数みられました。これらの症状は、当時「枯草熱」と呼ばれていました。

その後、イギリスのブラックレという学者は、1873年、枯草熱がイネ科植物(カモガヤ)の花粉に起因していることを発表しました。こうして、枯草熱は、「花粉症」と呼ばれるようになり、花粉によるアレルギー反応であることがわかったということです。世界の三大花粉症は、アメリカ:ブタクサ(全人口の5~15%が患っているらしい) ヨーロッパ:イネ科花粉症 日本:スギ花粉症

そろそろ本格的に花粉は飛散を始めます。一日で飛散量が比較的少ないのが午前中ということなので、出かけるのなら午前中がいいですね。そして逆に飛散量が最も多いのが、午後1時~3時の時間帯です。そのあと午後8時頃までは、飛散量は比較的多いとされています。また、風の強い日、お天気の日は花粉が多いので、外出を避けたいですね。

とは言え、家にこもっていることもできませんし、花粉症をお持ちの方にはつらい季節かと思います。アメリカでは、既に花粉に効くワクチンが開発されて実用化されているとか。日本でそれが実用化されるのには、まだ5年ほどかかる見通しだそうです。ワクチンの注射をすれば、花粉症に悩まされない日が来るのも、夢ではなさそうです。